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vol.06

LUWEAVE-ISM

SPECIAL CROSS TALK

金融業界には高度な数理スキルを駆使して活躍するクオンツ(計量アナリスト)という職種があります。
今回は先端金融工学センターという、ITベンダーでは珍しい当社独自のクオンツ専門チームのメンバーに
クオンツを目指した背景や、仕事の面白さ、やりがいについて語ってもらいました。

メンバー

MEMBERS
  • 1994年入社
    主席計量アナリスト/
    先端金融工学センター長

    S.YAMAGUCHI

    個性あふれるクオンツメンバーをまとめる先端金融工学センターのセンター長。チームマネジメントを行う傍ら、金融系イベントの講演、大学院授業での特別講師を務めるなど、幅広く活躍している。

  • 2020年入社
    計量アナリスト

    T.KIMURA

    大学院時代は、確率論を用いた経済のモデル化に取り組む。卒業後は保険会社のアクチュアリー候補生として勤務し、その後より広い領域にわたる金融データを用いた分析業務に携わりたいという思いからクオンツを目指し入社。

  • 2016年入社
    計量アナリスト

    T.TOUSE

    大学時代は純粋数学を専攻。新卒として入社し、クオンツとして大手金融機関常駐を経て、当社が提供する会計CVA計算サービスKAI EMOTEの開発に従事。気候変動リスクに関する新事業検討にもクオンツとして参画。

数学実務の円が重なるところ、
そこにクオンツの存在がある

まず、クオンツについて教えてもらえますか?

T.K一般的に金融工学や機械学習などの高度な数学的手法や数理モデルを用いて、主に金融分野のマーケットを分析したり、投資戦略、金融商品を考案・開発をしたりすること、もしくはそれを行う専門家のことをクオンツと呼びます。金融機関ではなく、当社のようなITベンダーに所属するクオンツは、私たちが考案した数学的手法や数理モデルを金融機関に利用していただくことや、金融機関ごとの多様なテーマでの分析やモデル化を実施することがミッションとなります。

S.YITベンダーと、金融機関のクオンツという点については、当社では過去に、大手金融機関に常駐し、金融機関のクオンツとともに仕事をするという業務がありました。T.Tさんは、入社2年目にその業務を経験したので、金融機関のクオンツとの違いを実感していると思いますが、どうですか?

T.Tそうですね、私たちITベンダーのクオンツは、正しくモデルを実装することを追及するという仕事が中心になりますが、大手金融機関のクオンツは、そこに加えてそのモデルにどのような価値があるのかを経営層に伝え、意思決定をサポートするという役割も求められます。私たちも、分析結果やモデルなどをお客様にわかりやすく説明するコミュニケーション力が求められますので、大手金融機関のクオンツと業務をさせていただいた経験は非常に勉強になりました。

クオンツには、高度な数理スキルが求められるということですが、皆さんはどのような学歴やキャリアをお持ちですか?

T.K私は、大学院時代に数学の基礎理論と実務を掛け合わせた領域に興味があって、確率論(金融工学)を用いた経済のモデル化に関する研究に取り組んでいました。卒業後は、その思いを実現すべく、保険会社でアクチュアリーという数理的な専門職に就き、基礎的な数理スキルを生かして保険料を算出するなどの仕事をしていました。その後、より広い領域にわたる金融データを用いた分析業務をやってみたいという思いが強くなり、当社にクオンツとして転職しました。

T.T私は新卒でクオンツとして入社しました。大学時代は金融工学やプログラミングとはほとんど関係のない純粋数学を専攻していたのですが、T.Kさんと同じように、数学を生かせる仕事がしたいという思いが強く、アクチュアリーか、クオンツの2択で就職を考えていました。正直言うと、学生時代はそこまで金融に興味はなかったのですが、巡り合わせもあり、当社にクオンツとして入社することになりました。

金融の知識がなくても、数理スキルがあればクオンツになれるということですか?

T.T私の場合、純粋数学でも自分の知識が仕事に通用しそうだ、ということは実感できました。ただ、数学の知識をどのように仕事に生かすかとなると、そこは教科書レベルの話ではなくなってきます。モデルやサービスなどが実務の中でどのように使われるか、金融ビジネスについて知るとともに、お客様がどのようなことを求めているかなどを実務の中で学んでいきましたので、その点は多少大変だったと思います。

S.YT.Kさんのように金融工学を学んできた人もいれば、T.Tさんのように金融の世界をまったく知らずに入ってきた人もいます。他にも物理系、機械系など、バックボーンは割とバラバラだと思います。全員に共通しているのは、高い数理スキルを持っているということ。そこがクオンツになる第一歩であると考えています。

S.Yさんのバックボーンはどのようなものですか?

S.Y私の場合は、クオンツを目指していたわけではなく、前身の会社の都合でやることになりました(笑)。ただ、自分が今まで経験したことのない新しいことに取り組むというワクワク感はありました。20年以上も前の話ですので、クオンツや金融工学に関する日本語の文献はほとんどなかったですし、最初はニューヨークに行ってクオンツについてのヒアリングを行うなど、地道に情報収集をして仕事にしていきました。

金融だけでなく、
幅広い領域への取り組みを経験できる
先端金融工学センターのクオンツ

ITベンダーでクオンツの専門チームを持っている会社は少ないそうですね。

S.Y大手金融機関の多くがクオンツチームを持っていますが、ITベンダーで、当社のように「先端金融工学センター」というクオンツ専門チームを持っている企業は少ないと思います。

先端金融工学センターの役割についてお聞きしてもいいですか?

S.Yもともとは当社の先端金融工学センターは、当社製品の1つである「Prélude Enterprise(以下Prélude )」という、銀行の金融市場取引業務を効率化するシステムの計算モデルをつくることを軸に据えつつ、他のクオンツ業務も手掛けていました。しかし、業務の幅が広がってくると、Préludeのクオンツはその開発業務だけに専念しようという話になり、Prélude以外のクオンツ業務を先端金融工学センターが受け持つようになったのが現状です。

先端金融工学センターの中で2人はどのような業務を担当されているのですか?

T.K金融データの分析業務、その結果をもとにしたコンサルティング業務を行っています。例えば、今まで手作業でやっていた業務を、モデルをつくってシステムに実装することで業務を効率化させる仕事があります。そこにはロジックとして数式が組み込まれますので、お客様に対してこのような分析結果が得られたという結果を示し、議論を繰り返しながら完成形に近づけていきます。おそらく皆さんが思うよりもコミュニケーションが必要とされる仕事だと思います。

T.T私はKAI EMOTEという、会計CVA※1計算サービスの立ち上げから関わっています。主に地方銀行のお客様が銀行規制に対応するために、取引先の信用リスクなどを評価するサービスであり、お客様に計算ロジックを説明する際や、お客様側の監査法人とのやり取りにも説明を求められることがあります。それと、もう1つ携わっているのが、別事業部が新規事業として検討している気候変動に関するモデルづくりです。銀行には融資先企業がありますが、社会が脱炭素社会の実現に向かうプロセスの中で、融資先企業も何らかの影響を受ける移行リスクが生まれる可能性があります。また、自然災害によって工場の操業がストップするといった物理リスクも考えられます。このように、融資先が気候変動やその対策によって生まれるリスクにどこまで対応できているかは、銀行の与信管理において重要になってきます。その対策度合いを数値化するという新規事業への取り組みにクオンツとして参加しています。

※1 融資先などが債務不履行になるリスクを数値化し、評価に反映させること

先端金融工学センターがあることによってクオンツとしての視野が広がるようにも思います。やりがいにもつながっているのでは?

T.Tそうですね、クオンツが活躍できる領域は金融に限らず、気候変動のプロジェクトのように、今後も新しい取り組みがどんどん出てくると思います。先端金融工学センターの一員でいることで、クオンツの可能性を広げる当事者になれるので、恵まれた環境だと思います。

T.K先端金融工学センターは、成長著しい金融×IT領域において、最先端の知識とノウハウが蓄積された場所です。さまざまな分野で、理論に根ざした仕事ができることは、自分がやりたかったことそのものだと思います。また、私自身の感覚ですが、数学を実社会でどのように役立てるのか、というのは見えにくい部分であると思っています。だからこそ、クオンツを志したのですが、お客様の役に立ち、喜んでいただけると、学生時代にやりたかったのはこういうことなんだと、身をもって実感することができています。

T.Tたしかに、T.Kさんの言う通りで、学生時代は純粋に数学を楽しんでいましたが、クオンツになって数学を誰かの役に立てる楽しみを見つけられたように思います。

S.Y手前味噌になってしまうのですが、当社の先端金融工学センターのクオンツメンバーは7名※2おり、全員が自分の仕事に誇りを持っています。携わっている仕事は異なりますが、プロフェッショナルとしての意識が高く、貪欲に新しいことを吸収しようとしています。勉強会や情報交換なども行うなど、一人ひとりの思いと行動が先端金融工学センターの存在意義を高めていると思います。

※2 2023年12月現在

高い数理スキルを、誰かのために使いたい。
そんな目的意識がある人を求む。

少数精鋭の先端金融工学センターのクオンツチームですが、今後、どんな人に仲間になってもらいたいですか?

T.Tクオンツが関わる仕事は、日々情報が更新されるため、お客様にサービスを提案できるようアップデートしていく必要があります。私自身も心掛けているのですが、自分から新しい情報をキャッチアップしていける人、そして、1人では仕事はできないので、チームとして円滑なコミュニケーションが取れる人が望ましいのではないかと思います。

T.Kクオンツという業務に強い興味を持っている人、そして高い数理スキルを下地として持っている人が前提になります。その上で、T.Tさんも言っているようにコミュニケーションスキルが必要になると思います。素晴らしい分析ができても、共有するスキルがないとチームとしては機能しにくくなりますからね。また、キャッチアップの部分でも、新しい知識を身に付けるために、素直に人の意見を聞いて、そして自分なりの行動に移せる人と一緒に働きたいと思います。

S.Y2人の場合もそうでしたが、自分の数理スキルに自信を持ち、そのスキルを誰かのために役立てたいと目的意識を持っている人にきていただきたいですね。そういった下地があれば、クオンツとして良いキャリアが歩めると思います。部としては、レベニューシェア※3といったメンバーに還元されるようなビジネスモデルも模索しているところです。質の高いクオンツ集団をつくっていきたいと考えていますので、我こそはという方がアクションを起こしてほしいですね。

※3 成果報酬型の契約形態

LUWEAVE-ISM 06

── 高い志を胸に抱き、チームワークを大切にしながら自分を磨き、成長していく。そして仕事を通じてお客様と社会に貢献する。対談を通して見えてきた社員達のそんな姿勢は、「ルウィーブ-イズム」と呼ぶにふさわしいもの。そして、社員一人ひとりのルウィーブ-イズムは当社の掲げる5つのクレド(信条)に深く根ざしています。

OUR CREDO

志を高くもち続けることは、簡単なことではありません。情熱的であった志も、本人が気付かないうちに、日々の仕事に忙殺され、少しずつ失われることも少なくありません。何かを達成したら、そこに満足し安住したい気持ちもあるでしょう。しかし、何かを成し遂げたら、本当は次の目的が見えてくるはずです。
「aim」という単語には「照準をあてる」という意味があります。何かを達成したら、次の目標に照準をあてる。「Aiming high」とは、その繰り返しです。
私たちは、つねに高い目標を自ら掲げ、ICT業界の枠を超える独自の価値を創造し、お客さまや社会に貢献します。

「truth」という単語は「真実」を意味します。ビジネスの場面では、競争のステージが変化し、真実の定義が変わる場合もあります。本質を追求し続けることが、ビジネスにおける「真実」です。
本質を追求することは、簡単なことではありません。過去の習慣、上下関係、技術常識などさまざまな慣習の壁に阻まれ、本質が見えなくなる場合がしばしばあります。また、本質を共有するためには、慣習の壁を打ち破る論理や、伝える勇気も必要です。腹を割った議論が必要な場合もあります。
私たちは、慣習の壁にとらわれず、何が大切なのかを感じ、考え抜き、共有することで、つねに本質を追求します。

私たちは、これまでの歴史の中で、社会のニーズを感じ取り、新しい価値を創造し続けてきました。他社が目を付けていなかった事業領域で成功を収め、新しい価値を社会に提供してきました。自由闊達な風土と、リスクを共有する勇気が、それを支えてきました。
「first」という単語は「最初に」を意味します。最初に何かを行うことは、それ自体に意味があります。誰よりも先に考え行動し、最初に何かを成し遂げた者にしか得ることのできない、貴重な価値があります。
私たちは、ニーズを感じ取り、つねに他社に先駆ける価値を創造することで、ICT業界の先駆者として時代を牽引します。

あきらめることは、いつも簡単なことです。あきらめた瞬間に、さまざまな言い訳や慰めの言葉が、自らの「あきらめ」を正当化してくれます。あきらめないことは、困難と勇気を伴います。あきらめないことで、揶揄されることがあるかもしれません。
しかし、なすべきことにこだわり、あきらめないことで、私たちは成長することができます。あきらめないことで、独創的な価値を創造したり、お客さまの期待に応え、さらに期待を超える品質を提供することができます。
私たちは、お客さまをはじめ、相手に与えた期待値を超えるまで、あるいは自らの考えやアイディアが相手に伝わるまでは、決してあきらめず、こだわり抜きます。

「One family」は、私たちが、日本オリベッティとして事業活動を行っていた時代から、私たちの中に永く培われてきた大切な精神の一つです。私たちの先人は、「One family」の精神をもって、あらゆる困難に立ち向かい、新しい価値を創造してきました。その精神はいまでも、私たちの誇りです。
「family」という単語は「家族」を意味します。一つの家族のような強い絆や団結力は、組織としての強い力であり、企業が成長していく糧となり得ます。
私たちは、これからも「One family」の精神を大切に継承し、目的を共有し、助けあい、成長していきます。